2016年6月、英小売大手のMarks & Spencerが初となる人権報告書を発行しました。
M&S Human Rights Report 2016
https://corporate.marksandspencer.com/documents/plan-a-our-approach/mns-human-rights-report-june2016.pdf
高まる人権への関心に応え、これまで行ってきた
人権に関する取り組みを体系的に整理し報告しているもので、
昨年6月のユニリーバに続き、
国際的にも先行事例となります。
(関連記事:世界初のユニリーバ人権報告書 気になる中身とは?)
Marks & Spencerは現代奴隷法への対応を機に、
・人権方針
・グローバル調達方針
・衣類、家庭用品、食品のサプライチェーンにおける苦情処理方針
・現代奴隷法に関するステートメント
をすべて改訂・新規に発表。
また、各国に散らばるサプライチェーンを
インタラクティブに開示するなど、
人権に関する取り組みと報告を強化しています。
http://interactivemap.marksandspencer.com/
気になる報告書の中身は、
人権に関するコミットメントから始まり、
7つの顕著な課題(salient issues)に関する報告、
ガバナンス体制、今後の取り組みと続き、
全部で60ページあります。
重要な課題として特定しているのは、以下の課題。
<7つの顕著な課題>
・強制労働
・結社の自由
・差別、女性の権利
・健康・安全
・生活賃金
・水・衛生
・労働時間
<その他4つの追加課題>
・児童労働
・土地の権利
・安定雇用
・プライバシー
課題と事業との関係性 P13
それぞれの顕著な課題について、
課題認識、リスクの度合い、方針、デュー・ディリジェンスの事例、
対応事例、協働事例、ネクストステップを報告し、
監査の結果についても課題別に違反数を開示しています。
監査の結果 P15
こうした先進的な人権報告書を読むことのメリットは、
「人権に取り組む」といったときに、
なにを、どこまでやったらいいのかという点が見えてくることです。
どこまで、とはいっても、そんなに簡単なものではもちろんなく、
先進的と言われている企業でさえ、まだまだ取り組みは道半ば。
ユニリーバもマークス&スペンサーも、
8年~10年単位のロードマップを描いて取り組んでいます。
M&Sのロードマップ P9
担当者の方には、まずは、内容を一読してみることをお勧めします。